猫が脱走した直後、「そのうちお腹が空いたら自分で帰ってくるのではないか」と淡い期待を抱いて待機してしまう飼い主は少なくありません。しかし、現場の捜索データや民間動物保護団体の集計によると、外を知らない完全室内飼い猫が自力で帰ってくる確率は15%〜20%前後に留まります。普段から自由に出入りしている外飼い猫であれば自力帰還率は高まるものの、現代の住宅街では交通事故、感染症、他猫との縄張り争いなど、命に関わるリスクが数時間単位で跳ね上がります。
捜索において「猫脱走72時間タイムリミット」と呼ばれる決定的な分岐点が存在します。猫は極度の恐怖を感じると、交感神経が極限まで高まり、筋肉を硬直させて気配を完全に消す「すくみ反応(フリーズ)」を起こします。この状態の猫は、飼い主の声が目の前から聞こえても一切鳴かず、身じろぎもしません。脱走から概ね3日間(72時間)は飲食を行わずに同じ狭小スペースに留まり続けることが可能ですが、脱水症状や体力の限界を迎える72時間以降、空腹や喉の渇きに耐えかねて移動を開始し、行動範囲が一気に拡大してしまうのです。
したがって、猫脱走初動対応の成否は、猫が「恐怖で動けずに近くに固まっている最初の3日間」にどれだけ徹底して自宅周辺の隙間を虱潰しに捜索できるかにかかっています。遠くを探すのではなく、まずは足元と敷地周囲に全エネルギーを集中させなければなりません。