本作の根底に流れるのは、母親から愛されないことによって植え付けられた深い精神的傷痕です。青島家の長女として生まれたリカは、母・ゆりこ(川島なお美)の目にはなぜか「イグアナ」の姿に見えてしまい、幼少期から露骨な冷遇と精神的虐待を受けて育ちます。一方で、次女のマミ(榎本加奈子)には惜しみない愛情が注がれ、リカは「自分は醜く、愛される価値のない存在なのだ」という強烈なトラウマを抱え込みます。
成長したリカは高校で岡崎昇(岡田義徳)と出会い、初めて他者からの無償の愛に触れますが、母への恐怖と自己否定の呪縛から容易には逃れられません。物語中盤以降、母・ゆりこの干渉はエスカレートし、リカの大学進学や恋愛を徹底して阻もうとします。
物語が劇的なクライマックスを迎える『イグアナの娘』の最終回では、母・ゆりこが突然の病で倒れます。死の間際、ゆりこは病床で自らの真実をリカに告白します。実はゆりこ自身も「元はガラパゴス諸島から人間の姿へと変わったイグアナ」であり、自分自身の醜い本性を長女の姿に投影して恐れていたという衝撃の真相が明かされます。最期の瞬間に母は初めてリカを抱きしめ、「ごめんね、愛していたのよ」と言い遺して息を引き取ります。主題歌であるエルトン・ジョンの『Your Song』が美しく重なり、長きにわたる母娘の呪縛の解放と再生を描いて幕を閉じました。