gloops売却直後、梶原氏が下した決断が「シンガポールへの移住」でした。メディアやネット上では当時様々な憶測が飛び交いましたが、その理由は複合的かつ極めて合理的な計算に基づいています。
第一に挙げられるのは、キャピタルゲイン非課税という税制面のアドバンテージです。シンガポールは有価証券の譲渡益や配当金に対する課税が存在せず、法人税率も最高17%と低水準に抑えられています。数十億円から数百億円規模の資金を複利で再投資していくグローバル投資家にとって、シンガポールにファミリーオフィスを置くことは世界水準のスタンダードと言えます。
第二に、東南アジアを中心とするスタートアップ投資へのアクセスです。シンガポールはアジアにおける金融・テックのハブであり、インドネシア、ベトナム、マレーシアといった急成長市場の有望企業が資金調達に集まります。日本のゲーム産業で培った知見を活かし、次世代のITインフラやWeb3分野へ投資するための最前線として、同国は最適な立地でした。
そして第三に、超富裕層に対するプライバシー保護と子育て環境です。シンガポールは治安が極めて良好であり、要人や実業家が過度なメディアの追跡に晒されることなく平穏に暮らせるインフラが整っています。国際感覚を養うハイレベルなインターナショナルスクールが充実している点も、後の結婚・家庭形成において決定的な要因となりました。