旅行者や沿線に引っ越してきたばかりの人が最も戸惑うのが、「八高線という同じ名前の路線なのに、八王子から高崎まで直通する列車が1本も存在しない」という事実です。この八高線系統分離理由には、路線の生い立ちと首都圏の輸送構造改革が深く関係しています。
かつては八王子から高崎まで全線を走破する気動車や客車列車が運行されていましたが、1996年3月の八王子〜高麗川間電化開業を機に運行系統が完全に二分されました。
電化された南区間は、青梅線・中央線・西武線と交差しながらベッドタウン化が進み、都心方面や川越方面への通勤流動が急増しました。一方、高麗川以北の北区間は山間部や農村部を走るため輸送密度が低く、莫大な費用をかけて全線を電化する投資対効果が得られなかったという背景があります。
その結果、八王子〜高麗川間は電車化して川越線(高麗川〜川越間)と一体運用を行い、高麗川〜高崎間は八高線キハ110系気動車によるローカル輸送に特化するという現在の役割分担が確立しました。この八高線電化非電化違いを理解しておくことが、八高線を迷わず乗りこなすための第一歩となります。