サロンワークの現場で美容師が最も警告を発するのが、安易な市販の黒染め剤の使用です。黒染めと5トーン比較において、最大の違いは「退色スピード」と「色素の残留度合い」にあります。
市販の黒染め剤の多くは、3レベル前後の漆黒に染め上げるために高濃度のジアミン染料や濃厚な赤褐色顔料が使用されています。これらは一度毛髪内部に入り込むと強力に結合し、通常のブリーチ剤でも容易に分解できません。数カ月後に「やっぱり明るくしたい」と思っても、染料が不均一に残って赤黒い帯状のムラが生じ、修復に数万円の施術費用と多大な髪のダメージを伴うことになります。
対照的に、サロンで調合される5トーンカラーは、将来のカラーチェンジを視野に入れた処方が可能です。5トーン色落ち経過を追跡すると、染めた直後から2週間程度は落ち着いた暗髪を維持し、3〜4週間目にかけて徐々にベースのブラウンが顔を出し始め、最終的には6〜7トーン程度の柔らかなアッシュブラウンへと穏やかに褪色していきます。赤みを徹底的に削りながら染め上げるため、色落ちの過程そのものが汚くならず、品格を保ったまま次のスタイルへ移行できます。