back numberが放ったメジャー4枚目のシングル『恋』の発売日は、2012年3月7日。テレビ朝日系『お願い!ランキング』の2012年3月度エンディングテーマに抜擢されたこの楽曲は、オリコン週間シングルランキングで初登場6位を記録し、バンド初期の知名度を一気に全国区へと押し上げる決定打となりました。後に名盤と評される2ndアルバム『blues』にも収録され、現在に至るまでライブのハイライトを彩る象徴的な1曲となっています。
当時の音楽雑誌のインタビューや特番において、作詞・作曲を手掛けた清水依与吏は「自分がかつて経験した、情けなくてどうしようもない感情をそのまま閉じ込めた」と率直に振り返っています。ロックバンドといえば強がりや理想像を歌うことが王道とされていたシーンの中で、惨めさや報われない現実を赤裸々に吐露するback numberのスタイルは、極めて異質かつ革命的でした。
さらに本作を語る上で欠かせないのが、ミュージックビデオ(MV)の圧倒的な映像美です。back number『恋』のMV出演女優として抜擢されたのは、当時ブレイク前夜だった能年玲奈(現・のん)。学校の教室や廊下、夕暮れの街並みを背景に、主人公が想いを寄せる「手の届かないヒロイン」を瑞々しく演じ切りました。彼女が見せる無邪気な笑顔とどこか憂いを帯びた眼差しは、楽曲が持つ切なさを完璧な形で可視化し、ファンの間で伝説的な名作クリップとして語り継がれています。