富士山噴火の脅威は溶岩流だけにとどまりません。高速で斜面を駆け下る火砕流と融雪型火山泥流は、時に溶岩流をはるかに超える破壊力とスピードで人命を脅かします。
高温の火山ガスと岩石が一体となって時速100キロメートル以上で噴出する火砕流は、発生からわずか数分で数キロ先を呑み込みます。避難行動を取る時間的猶予はほとんど残されていません。
また、冬季から春先にかけて積雪がある時期に噴火が起きた場合、マグマの熱で雪が一気に解け、土砂を巻き込みながら巨大な濁流となる融雪型火山泥流が発生します。到達速度は新幹線に匹敵するケースもあり、谷筋に沿って一気に下流へ押し寄せるため、季節に応じた警戒レベルの把握が命運を分けます。