実際にヘアドネーションを経験したドナーや、日頃からドネーションカットを担当する美容師たちの証言からは、ネット上のマニュアルだけでは見えてこないリアルな現場の温度感が伝わってきます。
3年間かけて腰まで伸ばし、40cmの毛束を寄付した都内在住の会社員女性(20代)は、自身の体験を次のように振り返ります。
「夏場のドライヤーは毎日汗だくで、途中で何度も切りたくなりました。でも、賛同サロンの美容師さんが『この長さならロングスタイルのウィッグに使えますよ』と丁寧に毛束を分けてくれた瞬間、すべての苦労が報われた気持ちになりました。ばっさりショートにした自分自身の気分転換にもなり、誰かの役に立てる達成感は何物にも代えがたいです」
一方、都内の賛同サロンで月間数十件のドネーションカットを手掛けるトップスタイリストは、サロン現場での注意点について語ります。
「お客様の中には『毛先から31cmあればいい』と誤解されている方がいらっしゃいます。実際には、切り落とした後のご自身のヘアスタイルを整えるための長さ(最低でも肩上3〜5cm程度)を残す必要があります。カット後の仕上がりをイメージせずギリギリの長さで切ってしまうと、ベリーショートにならざるを得ずショックを受ける方もいるため、事前の綿密なカウンセリングが欠かせません」