「おみくじの吉と大吉では、一体どちらが上なのか?」という疑問に対する明確な答えは、「大吉が最上位である点は共通しているものの、吉が入る位置には全国で2通りの正解がある」という事実に行き着きます。
全国約8万の神社を包括する神社本庁の広報担当部署や神道文化資料によると、おみくじの吉凶序列について「教義として全国共通の厳格な規定を設けているわけではない」というのが公式な立場です。各神社が古くから受け継いできた信仰や、採用している元版(「元三大師百籤」など)の解釈が尊重されているためです。具体的には、現代の神社界において以下の2つのパターンが並立しています。
【パターンA:中吉・小吉優位型(一般的な標準)】
大吉 > 中吉 > 小吉 > 吉 > 末吉 > 凶 > 大凶
一般の参拝者にとって最も親しみ深いのがこの並びです。「大・中・小」という直感的なボリュームのグラデーションに従い、吉の本体を小吉の下位に配置する形式です。
【パターンB:吉優位型(伝統的語義解釈)】
大吉 > 吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉 > 凶 > 大凶
神職や古典研究者の間で強く支持されるのがこちらの解釈です。この説では「吉」こそが善き運勢の基本形(ベースライン)であり、「中吉は吉の半分」「小吉は吉の少なめ」と位置づけられます。基本となる満額の吉に対し、中吉や小吉は「吉が割り引かれた状態」を指すため、大吉の直後には基本形である「吉」が位置づけられるという論理的帰結です。
神社本庁が監修する各種解説冊子でも、「吉凶の階梯よりも、そこに記された神仏の教えを受け止め、自らの生活態度を正すことこそが肝要」と繰り返し説かれています。つまり、記号としての吉凶の優劣に優劣をつけること自体、神道の本質から見れば派生的な議論に過ぎないといえます。