ここで一度、ネット空間にありがちな極論を正しておく必要があります。「いい写は死語だから、使うと全員から笑われる」「絶対に口にしてはならない」という極端な言説は、文脈を無視した短絡的な誤解です。
言語のライフサイクルにおいて、若者言葉が辿るルートは2つあります。「マジ」「ヤバい」「盛る」のように一般語化して全世代に定着するルートと、「チョベリバ」「激おこぷんぷん丸」のように時代色を強く残して世代の象徴となるルートです。
「いい写」は後者に属しますが、「いい写真」という四文字を二文字に圧縮した造語構造は、機能面において極めて合理的です。写真フォルダから特定の良い画像を要求する際、「いい写真送って」と言うよりも語感が軽く、気恥ずかしさを紛らわせるクッションとしての役割を果たしてきました。
したがって、気心の知れた同世代(20代中盤以降)のグループ内で使う分には、現在でも極めてスムーズなコミュニケーション手段として成立します。問題となるのは、「最新の若者言葉を使おうとして、現役世代(10代〜20代前半)に対してドヤ顔で繰り出してしまうケース」です。このミスマッチこそが、「痛い」「恥ずかしい」と受け取られてしまう構造的要因なのです。