世間が最も疑問に感じたのは、「なぜあれほど仲睦まじく見えていた夫婦が、プラチナ夫婦アワード受賞直後に別れたのか」という点でした。この劇的な展開から、ネット上では「実は何年も前から仮面夫婦だったのではないか」という穿った見方が瞬く間に拡散しました。
当時、夫婦で公の場に出演した際のインタビュー記録や現場の映像を精査すると、不仲を決定づけるようなトゲのある空気感はありませんでした。しかし、舞台裏を知る制作関係者からは別の証言も聞こえてきます。「おふたりとも非常に生真面目なプロフェッショナル。授賞式やインタビューでは『理想の夫婦像』を完璧に演じ切ってしまっていた。それがかえって本音での対話を遠ざけていたのではないか」という指摘です。
また、子供がいない理由についても様々な憶測が飛び交いました。結婚当初、賀来千香子は32歳、宅麻伸は37歳であり、家族計画を立てる選択肢は十分にありました。しかし、当時は女性トップ女優が結婚後も第一線で主演を張り続ける過渡期にあたり、仕事のオファーが絶えなかった背景があります。自然な成り行きとして仕事を優先するライフスタイルが定着し、育児という共通のライフイベントを持たなかったことが、良くも悪くも「夫婦2人きりの世界」を固定化させました。
子育ての苦楽を共に乗り越えるプロセスがなかった分、互いの仕事がピークを過ぎて生活が落ち着いた際、ふと顔を突き合わせたリビングで「共有できる話題の欠乏」に直面したことは想像に難くありません。子供がいなかったから不仲になったのではなく、夫婦の結びつきが「仕事とリスペクト」という脆い共通言語に依存していたことが、すれ違いを加速させた要因と言えます。