西郷隆盛が飼育していた犬の頭数は、一般的なペットの枠を完全に超えていました。明治6年(1873年)の政変に敗れて下野し、故郷の鹿児島へ戻った晩年、西郷の屋敷には常時13匹前後の猟犬が駆け回っていたと記録されています。資料によっては生涯で飼った犬は20頭を優に超えると推計されています。
鹿児島県立図書館に所蔵される『西郷南洲逸話』や親族の手記から確認できる、西郷の主要な愛犬たちの名前とプロフィールを整理したデータが以下となります。
これら以外にも、文献には「ユキ」「ハル」「シシ」「タマ」「ゴン」「スズ」といった合計13頭以上の名が散見されます。驚くべきは、西郷がこれらの犬たちを単なる「狩猟の道具」として扱っていなかった点です。当時の日本において、犬は外で残飯を与えられて飼われるのが当たり前でした。しかし西郷は、犬たちに白米や魚、時には好物のウナギや牛肉を自らの膳から分け与え、ノミ取りを自ら行い、一緒に川で水浴びをしていました。東京在住時にも愛犬を連れて外出し、高級料亭に犬同伴で上がり込んでは特上の料理を食べさせたという逸話が当時の新聞や回顧録に数多く残っています。