袖をまくる際、どこまでたくし上げるのが正解なのか。この疑問に対し、視覚認知学およびアパレルのスタイリング理論では「前腕3:袖丈7」の黄金比が明確な基準として提唱されています。長袖のシャツを着た状態を10とすると、手首から肘までの前腕部分を露出させる比率を全体の約3割、すなわち手首の関節から指3〜4本分上の位置に袖口を留めるバランスです。
この位置が極めて効果的な理由は、解剖学的な「対比効果」にあります。手首には脂肪がつきにくく、尺骨の茎状突起(くるぶしのような突起)をはじめとする骨格のシャープなラインが際立っています。人間の視覚は、衣服から露出した先端部分の細さから全体の体型を無意識に推測する傾向があるため、手首をピンポイントで露出させる手首見せ華奢見え効果により、全身の印象が引き締まって映るのです。
逆に、肘の上まで一気に引き上げてしまうと、力こぶの筋肉や腕の肉付きが強調され、スポーティまたは労働着の印象が強まります。とくに近年の白シャツコーデ女子に支持されるスタイリングでは、肘関節の曲がり角より必ず数センチ下にボリュームを溜めることで、女性らしい繊細な骨格ラインを美しく際立たせる設計が定着しています。