ネット上の掲示板やSNS、知恵袋の相談窓口を分析すると、初心者が自力で弦高をいじった結果、「弾きやすくなったどころか音が濁ってペラペラになった」「チョーキングすると音が途中で消える」という悲鳴に似たトラブルが頻発しています。その主たる温床となっているのが、弦高 下げすぎ デメリットに対する無理解です。
弦は静止している直線ではなく、ピッキングされた瞬間に楕円状に激しく振動(振幅)します。振幅の幅は低音弦ほど、また弦の中央部(開放弦の場合は12フレット近辺)ほど大きくなります。弦高を限界まで下げすぎると、振動している弦が隣接するフレットの金属面に物理接触し、これが不快なバズ音、すなわち弦高調整 ビビり 原因となります。
弦高を過剰に下げた場合に発生する現場の弊害は、以下の3点に集約されます。
- 音の伸び(サステイン)の激減:振動エネルギーがフレットとの接触によって急速に減衰し、音が伸びなくなる。
- ベンド(チョーキング)時の音詰まり:特に指板の丸みが強いビンテージ系ギターで、1音〜1音半チョーキングした際に弦がハイポジションのフレット頂点に接触して音が完全にミュートされる。
- ダイナミクス表現の喪失:弱く弾いたときは問題なくとも、感情を込めて強くピッキングした瞬間に弦がフレットに叩きつけられ、音抜けの悪いペチペチとしたプラスチックのようなトーンに変質する。
熟練のリペア職人が口を揃えるのは、「弦高を低く保つためには、フレットのすり合わせ(高さの完全な均一化)と正確なネックコンディションが完璧に整っていることが絶対前提条件である」という現実です。土台が歪んだまま弦高だけを力任せに下げても、音楽的なトーンは完全に崩壊してしまいます。