調剤薬局で交付される領収書を精査すると、会計は単一の薬代ではなく、複数の区分に細かく分類されていることがわかります。主に「調剤基本料」「薬剤調製料(旧・調剤料)」「薬学管理料」、そして薬そのものの代金である「薬剤料」の4つで構成されており、このうち患者との窓口対応に直結しているのが薬学管理料です。この中核を成す項目こそが、今回取り上げる「服薬管理指導料」にほかなりません。
窓口で「前回と変わりないですか?」「アレルギーはありますか?」と尋ねられるだけのやり取りに見えるため、「単なる会話になぜ費用が発生するのか」と疑問を持つ方が多いのも事実です。しかし、薬剤師法第25条の2において、薬剤師には医薬品の適正使用に必要な情報提供および薬学的知見に基づく指導が法的に義務付けられています。
現場取材を行うと、調剤薬局のカウンターの奥では患者の目に見えない重大な業務がリアルタイムで進行しています。医師が発行した処方箋に記載された薬の用量・用法が適正か、他の医療機関で出ている薬と危険な相互作用(飲み合わせ)を起こさないか、腎機能や肝機能の検査値に対して過剰投与になっていないかを調べる処方鑑査です。重大な疑問があれば、薬剤師は処方元の医師に電話をかけて内容の変更や中止を求める「疑義照会」を行います。日本薬剤師会の調査データ等でも、疑義照会によって副作用の回避や残薬整理が行われ、医療事故が水際で未然に防がれている実情が裏付けられています。私たちが支払っている服薬管理指導料とは、表面的な「お薬の説明代」ではなく、医療安全を担保するための専門的リスクマネジメント費用であるというのが医療現場の真相です。