永小作権とは、他人の土地において小作料を支払って耕作または牧畜をする権利を指します(民法270条)。土地を利用する権利(用益物権)の一種であり、土地そのものを直接支配できる強力な法的効力を持ちます。
ここで極めて重要なのが「物権と債権の違い」です。アパートの一室や一般的な農地を借りる際に結ぶ「賃借権」は債権に過ぎず、あくまで「契約を結んだ相手方(貸主)に対して使用・収益を請求できる権利」にとどまります。これに対して永小作権は「物権」であるため、地主の個別の承諾がなくても土地を直接排他的に支配し、第三者に侵害された場合には物権的請求権を行使して妨害を排除できます。
民法270条の定義には、実務上見逃せない要件が2つ組み込まれています。1つ目は目的が「耕作又は牧畜」に限定されている点です。建物を建てて住んだり、資材置き場や駐車場として使ったりすることは認められません。2つ目は「小作料の支払義務」が権利成立の絶対条件である点です。無償(タダ)で耕作させる合意をした場合、それは永小作権ではなく「使用貸借」という全く別の契約類型になります。