腎臓のコンディションを正確に知るためには、体全体の水分の出入り(INとOUTの収支)を把握することが不可欠です。水分摂取量と尿量の関係は、厳密な均衡(ホメオスタシス)の上に成立しています。
健康な成人の場合、1日の水分収支は以下のように概ね約2,500mlで均衡しています。
【水分流入(IN:約2,500ml)】
・飲料水:約1,200ml
・食事に含まれる水分:約1,000ml
・体内の代謝水(糖や脂肪の燃焼時に生じる水):約300ml
【水分排出(OUT:約2,500ml)】
・尿:約1,500ml
・不感蒸泄(皮膚や呼気からの蒸発):約900ml
・糞便中の水分:約100ml
夏場の猛暑や激しい運動で発汗(不感蒸泄)が1,500mlに跳ね上がれば、水分摂取を増やさない限り、腎臓は体内水分を守るために尿量を500ml程度まで絞り込みます。これが生理的な尿量減少です。
臨床診断において、日々の尿量を極めて高精度に評価する標準検査が「24時間蓄尿検査」です。蓄尿検査 基準値では、専用の蓄尿容器を用いて丸1日(24時間)の全尿を採取し、以下の数値を割り出します。
- 24時間総尿量:1,000〜1,500ml(800〜2,000mlが正常範囲)
- クレアチニン・クリアランス(Ccr):糸球体濾過量(GFR)を推算し、腎機能をステージ判定する指標(正常値:90〜120ml/min)
- 24時間尿中タンパク排泄量:0.15g/日未満が正常(0.5g/日以上は腎炎やネフローゼ症候群を疑う)
- 推定1日食塩摂取量:尿中に排泄されたナトリウム量から逆算(目標値:男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満、高血圧・CKD患者6.0g/日未満)
近年では、自宅で排尿時刻と1回ごとの排尿量を計量カップで記録する「排尿日誌(頻尿・尿量記録シート)」が泌尿器科領域で多用されています。2〜3日間の排尿日誌をつけるだけで、頻尿の原因が「膀胱容量の萎縮」なのか「多尿」なのか「夜間多尿」なのかが一目瞭然となります。