多くのリスナーが彼の声に惹きつけられる最大の理由は、「冷徹さと情熱」「気品と泥臭さ」という相反する要素を同時に同居させる音響表現にあります。
例えば『神様はじめました』の巴衛では、妖艶で冷ややかな声音をベースにしつつ、奈々生にだけ向ける微かな声の震えや甘さをミリ単位で調整しています。言葉では突き放していても、声のトーンひとつで「本当は愛しくてたまらない」という感情を視聴者に悟らせる技術は圧巻です。
また『アイドリッシュセブン』の千においても、日常の脱力した会話劇から、過去の挫折を吐露するシリアスな場面へのギアチェンジが実に見事です。感情を過剰に爆発させるのではなく、抑制された静かなトーンの中に巨大な感情のうねりを滲ませるアプローチこそ、立花慎之介の代表作がファンの胸を締め付けて離さない核心といえます。