カエサルが残した数々の言葉の中でも、ひときわ有名なのが「賽(さい)は投げられた」と「ブルータス、お前もか」です。この2つの名言は、カエサルの人生における「攻め」と「受難」の対極を象徴しています。
紀元前49年、軍隊を率いてルビコン川を渡る際に放った「賽は投げられた(ラテン語:Alea iacta est)」は、元老院の命令に背いて自らの運命を切り拓く、不退転の覚悟と主体的な決断を表しています。一方で「ブルータス、お前もか」は、自らの意思ではコントロールできない他者の背信による運命の瓦解と無念を端的に示しています。
「来た、見た、勝った(Veni, vidi, vici)」に代表される圧倒的な自信と実行力で時代を駆け抜けた万能の天才が、人生の終幕において最も無防備な絶望を露わにしたからこそ、後世の人々はカエサルの人間味に強く心を揺さぶられ続けています。