物語序盤におけるリリーは、黒猫ジジに対して徹底してつれない態度を取ります。窓辺で気取ったポーズを見せ、ジジが挨拶代わりに声をかけても冷たく背を向けるなど、高飛車な性格が強調されていました。
しかし、物語が進むにつれて2匹の距離は急速に縮まります。その馴れ初めと関係性の変化には、過度な説明を排したジブリ特有の繊細な心理描写が隠されています。コリコの街で居場所を探し、仕事に奮闘するキキを見守る傍らで、ジジもまた異国の地で孤独を抱えていました。リリーは最初こそプライドの高さを見せていたものの、健気に街を駆け巡るジジの純真さや優しさに触れ、次第に心を開いていったのです。
物語のラスト、エンドロールで明かされるジジとリリーの子供(子猫)の存在は、観客に大きな驚きと温かい感動を与えました。誕生した子猫は何匹なのか確認すると、ジジそっくりの黒猫が1匹、リリー譲りの白やブチ模様の子猫が3匹の、合計4匹であることが明確に描写されています。
キキの肩に乗る黒い子猫の姿は、キキとジジが紡いできた絆が次の世代へと受け継がれていることを象徴する、珠玉の演出といえます。