一般的に、日本で野生のホタルが見られる時期は5月下旬から7月上旬の初夏に限られます。成虫になってからの寿命はわずか1〜2週間程度と短く、その儚さこそがホタルの代名詞でもありました。しかし東武動物公園の「ほたリウム」に入ると、雪が降る真冬でも、陽が高く昇る真昼であっても、無数の青白い光が暗闇を舞っています。
なぜ一年中成虫の光を見られるのか。その秘密は、施設内で確立された高度な人工飼育システムと日照サイクルのコントロールにあります。飼育室では常時約1万匹のヘイケボタルを卵、幼虫、サナギ、成虫と各ステージに分けて管理。水温や室温、明暗の周期を人工的に数か月単位でずらすことで、年間を通じて途切れることなく成虫へと羽化させるサイクルを完成させました。
さらに展示室内は昼夜を逆転させており、人間にとっての「昼」をホタルにとって活動的な「夜」に設定しています。単に成虫を展示するだけでなく、累代飼育(施設内で世代交代を繰り返すこと)を成功させ続けている技術力は、国内外の研究機関からも極めて高い評価を受けています。