世間が最も注視しているのが、いわゆる「エプスタイン島 顧客リスト」や「訪問者リスト」と呼ばれる文書の存在です。ニューヨーク連邦地裁のロレッタ・プレスカ判事の命令により、2026年1月以降、数千ページに及ぶ封印された裁判資料(ジュフリー氏がマクスウェル氏を訴えた名誉毀損訴訟の宣誓供述書や証拠書類)が一般公開されました。
開示文書や、エプスタインが所有していたプライベートジェット機(通称「ロリータ・エクスプレス」)のフライトログには、世界的な大物たちの名前が多数記録されていました。
- アンドルー元英王子:ジュフリー氏から性的虐待で民事提訴され、巨額の和解金を支払って公務から事実上引退。
- ビル・クリントン元米大統領:複数回のフライト同乗が記録されているが、島への渡航や違法行為の認識は強く否定。
- ドナルド・トランプ前米大統領:1990年代にプライベート機への搭乗記録があるが、事件化以前に関係を断絶したと主張。
- ビル・ゲイツ氏、スティーヴン・ホーキング博士、リード・ギャレット・ホフマン氏(LinkedIn共同創業者):科学シンポジウムや慈善寄付の文脈でエプスタインと面会した事実が記録に登場。
ここで極めて重要な法的視点は、「裁判資料やフライトログに名前が記載されていること=性的虐待の顧客・共犯者である」という短絡的な結びつけは誤りであるという点です。資料には、エプスタインに利用された被害者、目撃者、捜査官、あるいは単にエプスタインの人脈作りに利用されただけの著名人の名前も同列に列挙されています。メディアの報道や法廷記録を精査する上では、単なる言及(Mention)と刑事責任(Culpability)を厳格に切り分ける必要があります。