かもめ学園高等部3年生でありながら、普段の教室で友人と過ごす姿がほとんど描かれない七峰桜。彼女の基本的な立ち位置は、「七不思議のリーダーであるトイレの花子くん」に対する八尋寧々と同じく、「生前の因縁を抱える怪異・つかさ」に仕える人間の助手です。
作中で描かれる彼女の行動原理は極めて合理的かつ冷徹です。つかさの無邪気で残酷な暴力性を前にしても眉ひとつ動かさず、淡々と紅茶を淹れ、放送室の機材を使って学園内の「噂」を書き換えていきます。なぜ彼女はこれほど危険な怪異と行動を共にしているのでしょうか。
原作の描写やインタビュー資料から浮き彫りになるのは、「ある願いを叶えてもらう代償として契約を結んだ」という冷酷な等価交換の事実です。桜自身、つかさの破壊活動を心から楽しんでいるわけではなく、どこか諦念を滲ませながら「早く役目を終えたい」というニュアンスの発言を繰り返しています。彼女がつかさに何を願ったのか、その根源こそが物語全体のクライマックスを解く最大の鍵となっています。