『なんでもないや』の歌詞や結末に関しては、ネット上でいくつかの誤解や憶測が飛び交うことがあります。ここでは当時の公式インタビューやメイキング記録から、その真実を紐解きます。
最も多い誤解の一つが、「『なんでもないや』は別れの切なさを歌った悲哀の曲である」という解釈です。確かにAメロやBメロでは「君のいない世界」「夕暮れは今日も街を濡らす」といった孤独や寂寥感が描かれています。しかし、楽曲全体の構成は明確に「再生と希望」へと向かっています。
新海誠監督は公式ブックレットや当時のメディアインタビューにおいて、ラストシーンのセリフと音楽のタイミングについて極限までこだわったことを明かしています。階段ですれ違い、振り返って「君の名前は?」と問いかける瞬間に劇伴が重なり、エンドロールで『なんでもないや』がフルコーラス響き渡る構成は、「二人が再び出会い、ここから新しい現実を紡ぎ直す」という絶対的な肯定を意図して演出されたものです。
また、野田洋次郎氏も新海監督からプロットを受け取った後、何度もリテイクを重ねてこの歌詞を完成させました。当初の案よりもさらに「日常の手触り」を色濃く残すフレーズへとブラッシュアップされた経緯があり、SF的なスペクタクルから観客を温かく現実世界へ送り出すための着地点として設計されているのです。