日本におけるパンケーキのイメージを一変させたのは、2000年代以降のメディアとカルチャーの波だ。映画『かもめ食堂』でフードスタイリストの飯島奈美が表現した、シンプルでありながら温もりあふれる朝食の風景は、多くの人々の心に強い印象を残した。北欧の日常に溶け込む素朴なパンケーキは、従来の「甘いホットケーキ」という固定概念を鮮やかに打ち破るきっかけとなった。
その後、TBS系『マツコの知らない世界』などの人気番組でパンケーキの奥深い世界が紹介されると、ハワイアンパンケーキや極厚スフレ生地の専門店が各地で大ヒットを記録。レシピ共有サイトのクックパッドでも、甘さを抑えた「食事系パンケーキ」の検索数が倍増した。さらにNetflixのフードドキュメンタリー番組などを通じて世界各国の生地文化が可視化されたことで、ブームは一過性の流行を超え、個性の異なる食スタイルとして完全に定着した。