今年度の自由曲として選ばれた楽曲は、吹奏楽界に新たな旋風を巻き起こしている。クラシックの重厚な名曲をベースにしながらも、変拍子や民族楽器の要素を複雑に織り交ぜた意欲作だ。複雑に絡み合うリズムセクションと、目まぐるしく変化する曲調の中で、生徒たちは一切の迷いなく音を紡ぎ出していく。
劇的なクレッシェンドから静寂へと落ち込む瞬間、会場中の息を飲む音が聴こえるほどの緊張感が走る。ただ難解な曲をこなすのではなく、そこに物語性と情熱を吹き込むことで、観客を楽曲の世界へと引きずり込む力がある。聴く者の予想を次々と裏切り、畳みかけるようなクライマックスへと突き進む構成は、まさに現在のイチカシにしか成し得ない芸術の領域だ。