料亭仕込みのふぐ白子の失敗しない茹で方を実践する際は、温度計がなくとも火加減を視覚的に捉えるコツが存在します。深めの小鍋にたっぷりのお湯を沸かしたら一度火を弱め、底から小さな泡がフツフツと立ち上り始める80〜85℃の状態を作ります。日本酒を湯量の5〜10%ほど加えると、酒に含まれる有機酸が臭みをマスキングし、より上品な風味へと仕上がります。
下処理を終えた白子を穴あきお玉や網杓子にのせ、湯の中に極めて静かに滑り込ませます。ここで設定するふぐ白子の湯通し時間は2分30秒前後が基本です。大ぶりの房(150g以上)であれば3分、一口サイズにカットした房なら2分程度で十分。外側の薄皮がキュッと引き締まり、やや白さが際立ってきた瞬間が引き上げのサインです。
茹で上がったらすかさず準備しておいた氷水へ落とし、熱の侵入を直ちに遮断します。白子の芯まで冷やしすぎると脂の口溶け感が鈍るため、表面が冷えたら(約40秒〜1分)清潔なキッチンペーパーの上に静かにすくい上げ、表面の水分を優しく吸い込ませるように拭き取ります。このひと手間で水っぽさが消え去り、凝縮されたクリーミーなコクが際立ちます。