本作の最大の魅力は、そのジャンルの枠に収まらない先鋭的な構成にある。物語の軸となるのは復讐の情念を描くリベンジスリラーでありながら、全編を貫くのは腹を抱えて笑えるアクションコメディの疾走感だ。シリアスなサスペンス展開から一転、不条理でテンポの良い笑いへと急降下するジェットコースターのような緩急は、これまでの邦画にはなかったカタルシスをもたらす。
息をもつかせぬ攻防の中で見せるキャラクターたちの情けない素顔や、思わず身を乗り出してしまう人間ドラマ。痛快な破天荒さと深い心理描写の絶妙なバランスこそが、観客をスクリーンに釘付けにする最大のフックとなっている。