同じ黄緑色の鼻水であっても、症状の出方によって背後に潜む疾患の緊急度や重篤性は大きく異なります。耳鼻咽喉科の臨床現場で専門医が直ちに警戒レベルを引き上げるのが、「片側性」と「悪臭」という2つのファクターです。
一般的な風邪に伴う炎症であれば、両方の鼻腔に症状が現れるのが通常です。しかし、片方だけの黄緑の鼻水と危険性に目を向けると、単なるウイルス感染では説明がつかない構造的・局所的トラブルが疑われます。小児であれば、本人が気づかないうちに小さなオモチャの部品やビーズ、紙屑などを鼻の穴に押し込んでしまった「鼻腔内異物」が代表例です。異物が数日間留まることで周囲の組織が化膿し、片側からだけ悪臭を放つ緑色の膿汁が溢れ出します。
一方、大人の片側性鼻汁で高頻度に見られるのが、上の奥歯の虫歯や歯周病の菌が副鼻腔へと突き抜けて感染する「歯性上顎洞炎」や、カビの一種が副鼻腔内で塊を作る「真菌性副鼻腔炎」です。さらに中高年以降では、片側だけの鼻づまりや血の混じった膿性鼻汁の陰に、鼻副鼻腔の内反性乳頭腫や悪性腫瘍(上顎がんなど)が潜んでいる危険性も排除できません。
加えて、黄緑の鼻水が臭い理由にも明確な病理があります。排出された粘液から「ドブのような臭い」「生ゴミのような饐えた臭い」がする場合、酸素を嫌う嫌気性菌が副鼻腔内で異常増殖し、タンパク質を分解して硫黄化合物などの腐敗ガスを産生している証拠です。周囲の人にまで臭いが届くほど悪臭が強烈な場合は、通常の風邪薬で改善することはまず期待できず、専門的な精密検査が不可欠となります。