本作の最大の推進力となったのが、当時若干18歳だった菅野美穂さんの鬼気迫る演技力です。それまではアイドル的な活動やバラエティ出演も多かった彼女ですが、この作品で見せた陰影のある表情と魂の叫びは、業界関係者と視聴者に大きな衝撃を与えました。
自分の姿を鏡で直視できず、常に自信なさげに背中を丸めて歩く姿、母親からのほんの些細な拒絶の言葉に瞳を揺らす繊細な芝居は、10代とは思えない完成度でした。感情を爆発させるクライマックスの号泣シーンでは、演技を超えた痛切なリアリティが画面越しに伝わります。
『イグアナの娘』での熱演が高く評価された菅野美穂さんは、翌年のドラマ『君の手がささやいている』や後の『愛しすぎなくてよかった』『大奥』へと続く、日本を代表する実力派主演女優への階段を一気に駆け上がることになりました。