なぜここまで徹底した下着ライン防止対策を行っていても、「パン線が見えた」という騒ぎが起きてしまうのでしょうか。そこには、服飾パターン(立体裁断)の構造とスタジオ照明が生み出す物理的な錯視が存在します。
第一の要因は、タイトスカートやスラックスに施されている「バックダーツ(絞り縫い)」や「裏地の切り替えライン」です。女性の骨盤の丸みに沿わせるため、立体縫製された服には必ずヒップ上部から下部にかけて縫製線が入ります。これが座ったりかがんだりした瞬間に張り詰め、下着のゴム紐と酷似した横一線の陰影を布地に浮かび上がらせるのです。
第二の要因は、テレビスタジオ特有のマルチライティングシステムです。出演者を立体的に美しく見せるため、正面からのメインライトに加え、後方や斜め上から強い「逆光(バックライト)」が当てられます。この強力な光線が服の裏地やインナーのわずかな段差に強いコントラストを生み出し、肉眼では全く見えない凹凸を強調して画面に映し出してしまう構造となっています。