信州犬伏の地で交わされた、父・昌幸、弟・信繁(幸村)、そして信之の三者による密談。歴史の転換点として名高いこの場面において、信之の果たした役割は極めて重い。豊臣方に付く父と弟に対し、信之は徳川方へと赴く決断を下す。
情熱とロマンを胸に大坂の陣へと突き進んだ真田信繁の華々しさと対照的に、信之に課されたのは「生き残る」という泥臭く孤独な使命だった。弟が戦場で散る覚悟を決めた一方で、兄は冷徹な現実と向き合い、徳川の厳しい世において真田の血線を繋ぎ止める重責を一人で背負い続けた。この対極的な兄弟の対比こそが、ドラマの物語的構造をより重厚なものへと昇華させている。