肉寿司が外食の定番として広く定着した背景には、日本の食文化における必然的な流れが存在します。もともと馬肉の産地である熊本県や長野県、青森県などでは、古くから馬刺しを酢飯と合わせる郷土料理が存在していました。これが商業ベースとして広まった大きな転機が、2010年前後に登場した肉寿司専門の酒場業態です。恵比寿横丁などを発火点として、若年層やビジネスパーソンを中心に一気に認知が広がりました。
肉寿司の発祥と普及の理由を紐解くと、魚介の高騰や若者の肉志向の高まりに加え、スマートフォンによるビジュアルカルチャーの普及が重なった点が挙げられます。木下駄に美しく並べられた肉のテクスチャーや、目の前でバーナーを使い豪快に仕上げるシズル感は、SNSを通じた情報拡散と極めて高い親和性を持っていました。大衆的な親しみやすさとエンターテインメント性が結びついたことが、爆発的なヒットを生んだ原動力です。