前歯に破損が生じた直後は、誰もがパニックに陥りがちです。しかし、ここで冷静かつ正しい手順を踏むことが、歯を救う最大の鍵となります。まずは以下の初期行動を徹底してください。
最も重要なのは、欠けた歯の破片保存方法です。破片が手元に残っている場合、断面の状態や破折の大きさによっては、歯科用接着技術を用いて元の位置にきれいに再接着できる可能性があります。その際、絶対に避けるべきなのが「ティッシュペーパーに包んで保管すること」です。歯の破片が乾燥すると、歯質内部のコラーゲン繊維が変性し、接着強度が著しく低下します。
破片は乾燥を防ぐため、「冷たい牛乳」または「生理食塩水」を満たした清潔な容器に入れて保管してください。どちらも手元にない場合は、薬局で購入できるコンタクトレンズ用保存液や、最悪の場合は口の中(頬の内側と歯茎の間)に含んで乾燥を防ぎながら歯科医院へ向かいます(※誤飲の危険がある小さなお子様の場合は口内保持を避けてください)。
また、患部を手や舌で触る行為も厳禁です。破折面は鋭利になっていることが多く、舌や唇を切る恐れがあるだけでなく、指先の雑菌が露出した象牙質や歯髄(神経)に侵入するリスクが高まります。出血を伴う場合は、清潔なガーゼを患部に当てて軽く噛み、圧迫止血を行いながら速やかに歯科クリニックへ連絡を入れてください。