フィクションの象徴だったこの言葉が、なぜ現実世界のアンダーグラウンドや医療フォーラムで囁かれるようになったのでしょうか。その決定的な引き金となったのが、カナダの元エンジニアであるリック・シンプソン氏が開発した高濃度大麻抽出物、通称RSO(Rick Simpson Oil)の存在です。
2000年代初頭、シンプソン氏は自身の皮膚がん治療に高濃度のカンナビスオイルを外用し、治癒したと主張。その後、彼はこの特殊なフルスペクトラム抽出オイルを「Phoenix Tears(フェニックスの涙)」と命名し、製法をインターネット上で無償公開しました。「不治の病から灰のように蘇る」という不死鳥のイメージを重ね合わせたこのネーミングは、瞬く間に世界中の代替医療コミュニティやネットフォーラムへと拡散していきました。
ネット上で「フェニックスの涙で難病が劇的に改善した」という体験談や都市伝説じみた噂が絶えない背景には、このRSOの存在があります。しかし、科学的な臨床試験による厳密な裏付けがないまま「奇跡の万能薬」として過大に語られるケースが後を絶たず、医療機関や規制当局との間で長年にわたる論争の火種となってきました。