「ギターの東大」という輝かしい響きに憧れて門を叩く希望者は後を絶ちませんが、そこにはネット上の評判だけでは見えてこない過酷な現実が存在します。
最大の盲点は、「ギターが好きで演奏が得意であること」と「ギター製作に向いていること」は全くの別問題であるという点です。木工作業は、塗料の有機溶剤の匂いが立ち込める作業場で、何時間もサンドペーパーをかけ続け、指先の感覚だけでコンマ数ミリの段差を感じ取る地道極まりない肉体労働です。「音楽の華やかな世界」を想像して入学した学生の約15〜20%が、初期の木工やすりがけの段階で理想と現実のギャップに直面し、モチベーションを維持できなくなるケースが報告されています。
また、ギター専門学校の難易度は筆記試験の偏差値ではなく、「規律性」「空間認識能力」「異常なまでのこだわりと忍耐力」で測られます。木材は湿度や温度によって日々変形する生き物であり、図面通りに切削しても狙った通りのトーンやネックの安定性が得られるとは限りません。試行錯誤を苦にせず、失敗したボディを迷わず破棄して一から作り直せる精神的タフネスが求められるのです。