すみっコぐらしの物語を深みのあるものにしている最大の要因は、キャラクターたちの背後にある「隠された事情」です。
もっとも象徴的なのがとかげの正体にまつわる物語です。とかげは海に住む優しい恐竜「スミッシー」の生き残りであり、仲間たちが絶滅した中で唯一生き延びました。正体がバレると捕まってしまうため、親友である「にせつむり」(実は殻をかぶったナメクジ)にしか本当の姿を明かしていません。離れ離れになった「とかげのおかあさん」と湖で奇跡的に再会するエピソードは、ファンの間で伝説的な名シーンとして語り継がれています。
また、とんかつとえびふらいのしっぽの関係性も胸を打ちます。どちらも「揚げ物の食べ残し」という共通の挫折を味わっています。とんかつは脂っぽすぎて残され、えびふらいのしっぽは固いから残されたという経緯を持ちます。同じ痛みを分かち合える者同士、常に寄り添い合い、いつか美味しく食べてもらえるよう前向きに生きる姿は、単なるマスコットの枠を超えた実存的な尊さを感じさせます。
さらに、ぺんぎん?とぺんぎん(本物)の対比も見事です。世界中を旅している正真正銘のペンギンである「ぺんぎん(本物)」は、明るく社交的で自分に何の疑いも持っていません。そんな本物と出会ったぺんぎん?は、憧れと同時に拭いきれない劣等感を抱きます。サンエックス公式設定が描くこのリアルな心理描写こそが、読者の胸を締め付けるのです。