建物の地震対策は、主に「耐震(たいしん)」「制震(せいしん)」「免震(めんしん)」の3種類に大別されます。地震エネルギーに対してどのように対抗・逃がすかというアプローチにおいて、それぞれ明確な思想の違いが存在します。
耐震は、壁に筋交いや構造用面材を配置し、強固な柱や梁で地震力に耐える構造です。日本の建築基準法が定める最低ラインであり、震度6強から7クラスの大地震でも「建物を即座に倒壊させず、人命を守ること」を主眼としています。ただし、地面の揺れがそのままダイレクトに建物へ伝わるため、上階ほど激しく揺れ、家具の転倒や構造躯体の接合部にダメージが蓄積しやすい側面を持ちます。
これに対し制震は、建物内部にオイルダンパーやゴムダンパー、鋼板などの制震部材を組み込み、揺れのエネルギーを熱エネルギーなどに変換して吸収する技術です。建物の変形量を耐震構造に比べて20〜50%程度低減させ、繰り返しの余震に対して高い粘り強さを発揮します。
そして免震は、建物と基礎の間に積層ゴムや直動転がり支承、免震ダンパー仕組み(オイルや鉛で振動を減衰させる装置)を配置し、建物自体を地盤から物理的に絶縁する高度な技術です。地震の激しい揺れをゆっくりとした横揺れに変換し、建物に伝わる地震力を3分の1から5分の1程度にまで激減させます。室内の家具転倒や食器の落下がほとんど発生しないレベルに抑えられる点が最大の強みです。