広島の「原爆の日」である8月6日、公式に黙祷が捧げられる時間は午前8時15分です。この時刻は、1945年8月6日に米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」から投下された原子爆弾(ウラン型原爆「リトルボーイ」)が、広島市上空約600メートルで炸裂した決定的な瞬間に由来しています。
広島市が主催する「平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)」では、式典進行の中で午前8時15分を迎える瞬間に合わせて「平和の鐘」が打ち鳴らされ、参列者全員による1分間の黙祷が行われます。同時に、広島市内全域に向けて防災行政無線やサイレンが高らかに響き渡り、公園内だけでなく街全体が一斉に祈りに包まれます。
広島原爆投下の経緯を紐解くと、投下目標は広島市中心部の相生橋でした。快晴の朝、通勤や建物疎開作業に動員されていた多くの市民や学生が一瞬にして熱線と爆風、放射線の犠牲となりました。推定中心温度数百万度の火球は地上を壊滅させ、1945年末までに約14万人もの尊い命が失われたとされています。午前8時15分という時間は、単なる儀礼上の区切りではなく、人々の平凡な日常が無慈悲に断絶された原点の時刻として、今も記憶に刻まれ続けています。