昼間は快適に過ごせていたにもかかわらず、就寝時に布団へ横たわった途端に鼻腔が狭くなる現象には、人体の構造と神経伝達に基づく明確な理由が存在します。
最大の要因は、重力による血流の変化と自律神経の働きです。直立している日中は重力によって血液が下半身方向へ引かれていますが、身体を水平に倒すと頭部への血流量が増加します。これにより、鼻の内部にある「下鼻甲介(かびこうかい)」という粘膜組織に網の目のように張り巡らされた毛細血管に血液がうっ血し、粘膜が風船のように大きく腫れ上がってしまうのです。
さらに、就寝時は身体をリラックスさせるために自律神経が交感神経から副交感神経へと切り替わります。副交感神経が優位になると血管が拡張するため、鼻粘膜の腫れに拍車がかかります。これに加えて、夜間は抗炎症作用を持つ体内ホルモン「コルチゾール」の分泌が低下するため、アレルギー性鼻炎夜悪化のトリガーが幾重にも重なる時間帯となります。
また、「右だけ」「左だけ」と時間帯によって鼻づまり片方だけが交互に塞がる現象に悩まされるケースも少なくありません。これは病気ではなく、健康な人にも備わっている「ネーザルサイクル(交代性鼻閉)」と呼ばれる約2〜4時間周期の生理現象です。通常時は自覚しにくいものの、アレルギーや風邪で粘膜全体が敏感になっていると、交代のタイミングで極端な閉塞感として現れます。