「難儀」という語は、標準語の枠組みを超えて方言(特に関西弁)において非常に親密かつ高頻度に使われています。上方落語や関西圏の日常会話では、「それはえらい難儀なこっちゃなぁ」「難儀やけど、ぼちぼちやろか」といったフレーズがごく自然に交わされます。
関西圏における「難儀」には、標準語のような重苦しい悲哀だけでなく、「相手の苦境に対する深い共感」や「人生の不条理をユーモアで受け流す知恵」が込められています。単に「大変ですね」と突き放すのではなく、「そのしんどさはよく分かるよ」という情緒的なクッションとして機能している点が、地域文化に根ざした言葉の妙味です。
また、東北や北陸、四国などの一部地域でも「身体が痛むこと」「病気で臥せっていること」を「難儀する」「難儀い(なんぎい)」と表現する例があり、日本各地の生活実態に寄り添ってきた言葉であることが分かります。