とんど祭りの現場で最も活況を呈するのが、残り火を利用して青竹の先に刺した餅や団子を焼く光景です。神社や地域によっては「とんど団子」が振る舞われることもあります。
なぜ神聖な火で餅を焼いて食べるのでしょうか。民俗信仰において、とんどの火は歳神様が宿った神聖な「神火」と位置づけられています。この神火の熱で焼き上げた餅や団子を体内に取り込むことで、「一年間風邪をひかない」「無病息災・家内安全が叶う」という絶大な生命力の恩恵(ご利益)が得られると信じられてきたためです。
また、火にあたる行為そのものにも強力な厄祓いの意味があります。高浜神社の由緒伝承にも見られるように、古来より「とんどの大きな火にあたると一年間健康でいられる」とされ、煙を全身に浴びて無病息災を祈る参拝者が後を絶ちません。
さらに見逃せないのが、「燃え残った灰(消し炭)」の持ち帰り風習です。西日本の農村部や旧家では、鎮火後の灰を半紙に包んで持ち帰り、次のようなまじないとして活用されてきました。
- 屋根や敷地の四隅に撒く:「火災除け」「魔除け」として家屋を災厄から守る。
- 田畑や家庭菜園に撒く:害虫除けおよび土壌を清める「五穀豊穣・豊作祈願」。
- 玄関先に盛る:泥棒除けや悪霊の侵入を防ぐ結界とする。
灰の持ち帰りが許可されている会場では、安全に配慮されたスコップや持ち帰り用の袋が用意されている場合もあります。持ち帰る際は火種が完全に消えていることを確認し、粗末に扱わないのが鉄則です。