どれほど魅力的なアイデアであっても、安全が担保されていなければ保育活動として成立しません。小児科医や日本小児科学会が発信する事故事例集によると、1歳児の口腔内探索(物を口に入れて確かめる行動)は極めて活発であり、直径39ミリメートル以下(トイレットペーパーの芯を通過するサイズ)の物体はすべて誤飲窒息のリスクをはらんでいます。
都内私立保育園に勤務する保育士歴12年の女性は、過去のヒヤリハットについて語ってくれました。
「新人の頃、クリスマスのキラキラ感を演出したくて、直径1cmほどのスパンコールやビーズを用意してしまいました。子どもが製作中に指先についたビーズを素早く口に運ぼうとし、間一髪で指を入れて掻き出した経験があります。冷や汗が止まりませんでした。それ以来、1歳児クラスの製作では、小さなビーズやボタンは一切排除し、マスキングテープや大型のカラーシールのみを使用するルールを徹底しています」
失敗しないコツとして押さえるべき保育安全対策の鉄則は以下の3点です。
- パーツの選定基準:ビーズ、どんぐり、スパンコール、綿の小玉などの微小素材は使用せず、誤飲の恐れがない大判シールや破いた色画用紙に限定する。
- 道具の隔離:ハサミやカッター、ホチキスなどの危険器具は子どもの手の届く作業台には絶対に置かず、事前の準備室や職員専用スペースで加工を完了させておく。
- 触覚過敏への配慮:絵の具を手足に塗られる感覚を極端に嫌がって泣き叫ぶ子どもは一定数存在します。無理強いはトラウマにつながるため、筆やスタンプ台を嫌がった瞬間に切り替え、前述のジップ袋技法やシール貼りに変更する柔軟な対応が欠かせません。