銀幕やテレビ画面のなかで完璧な二枚目を演じ続けた田村正和さんは、プライベートを一切公の場に出さない「徹底したミステリアス戦略」を貫いたことでも知られています。
1970年、正和さんは成城大学時代に出会った2歳年上の和枝夫人(銀座の高級洋品店の令嬢)と結婚しました。成城大学の先輩・後輩という間柄から育まれた交際は約2年間に及び、正和さんが27歳のときに結実しました。後に一人娘の早樹子さんが誕生しています。
家庭生活においては極めて子煩悩で愛妻家であったと伝えられていますが、バラエティ番組やトークショーで家族の具体的なエピソードを面白おかしく語ることは生涯ありませんでした。自宅から一歩外に出れば常に「田村正和」であり続け、ファンに生活感や所帯じみた日常を一切見せないという徹底した姿勢は、昭和の銀幕スターたちが持っていた崇高なプロフェッショナリズムの体現でした。