国会議事堂の本館は、正面から見て左側に衆議院、右側に参議院(旧貴族院)が配置された左右対称の構造を誇ります。千代田区永田町1丁目7番1号に建つこの威容は、地上3階(中央塔部分は4階、塔屋4階)、地下1階から成り、延べ床面積は約5万3,464平方メートルにも及びます。
政治報道の中心となる国会議事堂本会議場は、議長席と演壇を中心として扇状に座席が広がる「大陸型(放射状半円形)」の配置を採用しています。イギリス連邦諸国に見られる与野党が正面から向き合う対面式(イギリス型)や、旧東欧などのひな壇型とは異なり、演壇に向かって意見を戦わせる設計です。衆議院は465席(予備席を含め480席)、参議院は248席(予備席を含め460席)が整然と並び、天井には唐草模様の美しいステンドグラスから柔らかな自然光が降り注ぎます。参議院本会議場の後方高台には、開会式で天皇陛下がお座りになる豪華な「御席」が設けられており、衆議院本会議場にはない荘厳な気品を漂わせています。
議事堂の中央、塔の真下に広がるのが「中央広間」です。2階から6階まで吹き抜けになった空間の高さは32.62メートルを誇り、法隆寺の五重塔がすっぽり入るほどの圧倒的なスケールを持っています。見上げる天井には四季の草花を描いたステンドグラスが嵌め込まれ、壁面は国産の大理石で埋め尽くされています。
この中央広間の四隅を注視すると、奇妙な違和感に気づかされます。広間には国会議事堂中央広間銅像として、日本の議会政治の確立に多大な功績を残した伊藤博文、大隈重信、板垣退助の3体の銅像が設置されていますが、北東の角にある4つ目の台座だけが何も載っておらず、完全に空席のままなのです。
「4人目の像が空席の理由」には諸説存在します。当時の建設関係者の証言や議事堂の公式解説によると、「初代首相の候補者が絞りきれなかった」「政治に完成はなく、永遠の未完成を象徴している」「おごることなく、未来の政治家が自分もここに立てるよう努力せよという無言の戒め」といった哲学的解釈が語り継がれています。冷徹な政治闘争の現場にあって、この空の台座は後世の政治家たちに謙虚さを突きつける装置として機能し続けています。