群衆心理で人はなぜ豹変するのか?暴走のメカニズムと身を守る防衛術

群衆心理で人はなぜ豹変するのか?暴走のメカニズムと身を守る防衛術

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群衆心理に関して最も広範に流布している誤解は、「教養のない人間や情緒不安定な人物だけが流される」「知的水準が高ければ群衆心理には抗える」という偏見です。しかし、数々の認知心理学の検証は、この言説を真っ向から否定しています。

人間には、メディアや群衆の影響力について「他人は簡単に騙されるが、自分自身は客観的に物事を見極められている」と思い込む第三者効果バイアスが根強く存在します。東大や京大などの研究チームが過去の災害パニック時に実施した住民調査でも、高学歴層や管理職層であっても「念のために買っておこう」と平然と買い占め行動に走っていた事実が記録されています。

群衆心理から逃れられないのは、それが愚かさではなく、太古の生存本能(サバイバルアルゴリズム)に根ざしているからです。原始の荒野において「群れが一斉に走り出したとき、一人だけその場に留まって理由を熟考する個体」は猛獣に捕食されて淘汰されました。「理由が分からなくても、周囲と同じ行動を反射的に取る」ことこそが進化生物学上の生存戦略であったため、現代人の脳にも強固なOSとして刻み込まれているのです。この生物学的宿命を直視しない限り、「自分は絶対に大丈夫だ」と過信する人間こそが、真っ先に群衆の濁流に呑み込まれます。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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