爪が鮮やかな黄緑色や深緑色に染まる現象は、一般に「グリーンネイル」と呼ばれています。その見た目の禍々しさから「爪カビ」と混同されがちですが、グリーンネイルの原因はカビ(真菌)ではなく、緑膿菌感染による細菌トラブルです。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、土壌や水中、さらには人間の皮膚表面や腸管内など、身の回りのあらゆる場所に常在している極めてポピュラーなグラム陰性桿菌です。健康な皮膚表面に存在する限りは何の害も及ぼしません。しかし、水分が滞留し、適度な体温と閉鎖空間が揃うと爆発的に増殖する性質を持っています。
爪が緑色に見える理由は、緑膿菌が代謝の過程で産生するピオシアニン(青緑色の色素)やピオルビン(黄緑色の色素)が爪の主成分であるケラチン層に染み込むためです。決して爪の表面に植物のような苔やカビの胞子が根を張っているわけではありません。しかし、細菌の代謝産物が爪甲内部へ沈着している状態であるため、手洗いやアルコール消毒で表面を拭った程度では色素を洗い流すことは不可能です。