2007年8月、第89回全国高校野球選手権大会の主役となったのは、決して大会前の下馬評が高かったわけではない佐賀北高校でした。開幕戦で福井商を下すと、2回戦では優勝候補の一角だった宇治山田商と延長15回引き分け再試合の死闘を演じ、翌日の再試合を制して勢いに乗ります。
当時のチームを支えたのは、徹底した基本練習と緻密な状況判断、そして何より百崎敏克監督が掲げた「普通の一日を積み重ねる」という堅実な野球観でした。派手な長打力や150キロを超える剛腕投手がいたわけではありません。ベンチとスタンド、選手全員が一体となってピンチをしのぎ、粘り強く勝機を手繰り寄せる姿は、多くの高校野球ファンの心を捉え、いつしかスタンド全体を味方につける巨大なうねりへと変わっていきました。