おサイフケータイを導入する最大の利点は、日常生活における「認知負荷と決済動作の極小化」にあります。スマートフォンの画面ロックを解除したり、専用アプリを立ち上げたりする必要がなく、ポケットやカバンから取り出して端末背面のリーダーマーク(モバイル非接触IC通信マーク)をリーダーにかざすだけで決済が完了します。さらに、通信キャリアのモバイルデータ通信が圏外の地下街や山間部であっても、オフラインでタッチ決済が成立する堅牢性を備えています。
一方で、多くのユーザーが懸念するのが「端末のバッテリーが切れた際に使えるのか」という点です。結論から述べると、スマートフォンの画面が消えてバッテリー残量が0%と表示された直後であっても、一定時間(数時間程度)はICチップが動作し、改札の通過や決済が可能なケースが大半です。これは、FeliCaチップ自体がリーダー側の発する電磁波から微小な電力を得て動作(誘導起電)する仕組みを持っているためです。ただし、完全放電して長時間が経過した場合や、端末側の電源制御回路がチップへの給電を完全に遮断した状態では動作しなくなるため、過信は禁物です。
また、セキュリティ面では「端末を紛失した際に不正利用されないか」というリスクが挙げられます。おサイフケータイには「おサイフケータイ ロック」機能が標準搭載されており、暗証番号や指紋認証を設定することで、非接触決済機能そのものを一時的に無効化できます。紛失時にはキャリア各社が提供する「遠隔ロックサービス」やGoogleの「デバイスを探す」を通じて外部からチップ機能を即座に停止させることが可能です。
デメリットとしては、海外メーカー製の格安SIMフリー端末(グローバル版直輸入品など)ではFeliCaチップが省かれており、おサイフケータイが利用できないモデルが存在する点が挙げられます。また、複数の電子マネー残高が独立しているため、資金管理が分散しやすいという側面も留意しておく必要があります。