ここで、ネット上で散見される誤解について客観的事実をもとに検証しておく必要がある。
第一に、「渡辺美里の夏ソングはすべて小室哲哉が作曲している」という誤認だ。『My Revolution』『Teenage Walk』の強烈なインパクトからそう思い込まれがちだが、前述の通り『夏が来た!』を作曲したのは大江千里である。小室が構築した洗練されたデジタルポップ感に対し、大江は人間味あふれるピアノリフと情熱的なメロディラインを美里に提供し、彼女のシンガーとしての幅を大きく押し広げた。
第二に、「西武球場のライブはドーム化によって終了した」という噂だ。実際には、1999年にドーム化(西武ドーム)された後もライブは継続され、2005年の「20年目」という節目をもって、彼女自身の強い意志でスタジアムライブというフォーマットに終止符が打たれた。これは衰退による撤退ではなく、前人未到の記録を達成した上での美しき完結であった。
【プロの結論】おすすめできる人・見送るべき人の特徴
音楽評論の視点から、渡辺美里の『夏が来た!』およびアルバム『Lucky』を今聴くべき人と、そうでない人の傾向を整理した。
▼今すぐ聴くべき人:
・暑い季節を前向きに乗り切るためのエネルギッシュなアンセムを求めている人
・生楽器を中心とした90年代J-POPの最高峰のアレンジと演奏クオリティを体感したい人
・大江千里や大村雅朗が手掛けた緻密なポップス理論・コード進行に興味がある音楽ファン
▼ミスマッチとなる可能性がある人:
・チルアウト系やローファイ・ヒップホップのような、静かで抑制された夏曲を好む人
・80〜90年代特有のダイナミックで力強いボーカルスタイルに馴染みがない人